Q:
有名プロスポーツチームに所属する選手が、道路交通法違反(携帯電話使用等)により検挙され、同時に運転免許証が失効していたことも判明するという報道がありました。
アスリート研修の専門家の視点から、この事象をどう捉えていますか?
A:
①一社会人としての「責任ある振る舞い」
②有名クラブに所属している選手だからこそ求められる「あり方」
③「自立」したアスリートであること
の3つの観点から私の考えをお話しします。
①について、道路交通法違反(携帯電話使用等)で検挙されたことよりも、むしろクラブが選手に理解させるべきは、「運転中に携帯電話を操作するという行為のその先に、重大事故を起こしたり、自分や他者の生命や財産を奪いかねない状況があった」ということです。
今回の検挙は、その意味においてより大きな不幸を未然に防ぐことができた、不幸中の幸いであったのだということを、選手にしっかりと理解できるまで伝えるべきです。
責任あるひとりの社会人として、ともに社会を生きる多様な人々を傷つけることなく、その人たちの幸せや安定を壊すことのないよう、日々の言動には注意を払うことが大切です。
②について、有名クラブに所属している時点で、社会はその人を「有名人」として扱います。有名人には、本人が望むと望まないとにかかわらず社会は(ある種勝手に)様々な期待や役割を課すものです。
ましてやスポーツを行なっている子どもの憧れともなるスポーツ選手であればなおさらのことです。
今回のことで言うならば、運転中の携帯電話使用という比較的軽く見られがちな違反であっても、有名人であるからこそ「ルールを遵守する」ことが望ましいあり方です。
似たようなものとして、「歩行時の信号無視」「後部座席でのシートベルト未着装」「ゴミや飲料容器のポイ捨て」があります。
これらも、一般人であれば大目に見てもらえることもあるものですが、有名クラブに所属しているのであれば、「絶対にやらない」と強く意識を持つべき行為であると言えるでしょう。
③について、今回の問題の背景には「クラブからダメと言われていない(研修や禁止事項伝達として言われていない)」「先輩や友人は日頃からやっている」という、「周囲の様子に照らして自分の言動を律している」姿が垣間見えます。
「自分はプロサッカー選手としてどうありたいのか?」「人として自分はどうありたいのか?」など、自分の言動を自分自身の価値観やありたい姿に照らして生きていく。そういうアスリートは、選手生活においても自分を見失わず、強いですし、結果として競技成績が高くなることにも繋がっていると私は感じています。
アスリート研修の専門家
株式会社ホープス 代表 坂井伸一郎
ホープス アスリート人材育成事業