他球団との馴れ合い禁止は、ルール違反です。モラル違反ではありません。

様々なアスリートを指導する立場におられる、指導者や親御さんへ

1月22日に、「阪神・矢野2軍監督 他球団となれ合い禁止令 理由は“ファンに失礼”」という記事がスポニチさんにありました。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/01/22/kiji/20180122s00001173055000c.html

早速、複数のプロ野球球団の新人選手研修の場で、この記事を題材に選手たちにこう尋ねました。

「試合前のグラウンドで、相手チームにいる先輩選手や元同僚選手に挨拶をしに行ったり、談笑したりすることは、”ルール違反?”それとも”モラル違反?”」と。

みなさんはどう思いますか?

ちなみに、彼らの答えは球団によって分かれました。

1つの球団の新人選手たちは、”ルール違反”との答えが多く、
別のもう1つの球団の新人選手たちは、”モラル違反”との答えでした。

この問の正解は、【ルール違反】です。
なぜならば、公認野球規則(2017)の中には、明確に以下の記載があるからです。


6.04 競技中のプレーヤーの禁止事項〈4.06〉

(b)〈3.09〉
ユニフォーム着用者は、次のことが禁じられる。
(2) 監督、コーチまたはプレーヤーが、試合前、試合中を問わず、いかなるときでも観衆に話しかけたり、または相手チームのプレーヤーと親睦的態度をとること。


阪神タイガースの矢野2軍監督がおっしゃっているのは、「おれが来たからには、厳しくするからな!」ということではなく、「おれは、決められたルールをないがしろにするようなことは今後認めないぞ!」ということだと、私は受け取りました。

もちろん、新人選手がこのルールを知らないのは問題ではありません。

なぜなら、彼らのプロ野球選手としての人生は2月1日から始まるのですし、だからこそ、私たちが彼らの研修を担当しているのですから。

今日、ここに書いておきたいのは、その指示の背景をしっかりと示した上で、指導者は選手にメッセージを発して欲しいということです。

今回の記事の件、私は記事の範囲でしか情報を持っていません。ですので、矢野2軍監督がどのような伝え方を選手たちにしたのか?これからするのか?を知りません。

公認野球規則に上記の規定があることを選手に伝えた上で、それが遵守されていなかったこれまでの実情を共有し、その上で「ルールは守ろうぜ」と伝えたのであって欲しい。

もし、「馴れ合いはファンに失礼だ!真剣勝負なんだから馴れ合いなんてやめろ!」とだけ伝えていたのであれば、それは一過性・属人的なメッセージとして、受け手には理解されてしまいます。
発信者がいなくなれば、その発したメッセージも消えてしまうでしょう。

正しいことを発するのは大事。
でも、伝え方も大事。
それが私の考えです。

 

★ 本日のブログに関連する一冊 ★

—–

このブログは、株式会社ホープスのアスリート人材育成事業の情報発信を目的に始めました。
トップアスリート・学生アスリート・ジュニアアスリートの強化・育成に携わる指導者や親御さんに参考となるような、アスリート教育にまつわる様々な情報を発信して参ります。

ホープス アスリート人材育成事業

カテゴリー: アスリート研修 パーマリンク